どうも、現役不動産会社勤務のmasaru(@masaru)です。
私の経験ですが、過去にオーナーチェンジ物件で賃借人が亡くなってしまい、その後まさかの展開になったストーリーががあります。
収益物件にはこんなことがあるのか!と、とても勉強になった案件です。
本日はそんな出来事を綴っていきます。
オーナーチェンジ物件とは?
そもそもオーナーチェンジ物件とは、すでに賃料を払って人が住んでいる戸建てやマンションがあり、その状態で売買することをオーナーチェンジ物件といいます。
一般的に不動産所有者=オーナーなので、物件を売ることでオーナーである賃貸人(物件を貸す人)が変わるのでオーナーチェンジと言われています。
買った人は住んでいる人からの賃料をもらえる仕組みです。
一般的に流通しており、例えば下記のように販売されています。
ある年始に1本の電話
そんなオーナーチェンジのお話です。
ある年始、まだお正月雰囲漂う中1本の電話が会社にありました。
お電話ありがとうございます!〇〇不動産です。はい、そうです。はい、はい、はい・・・・・
電話の雰囲気でクレームか?と感じます。
そして事務スタッフが電話を切った後、衝撃の発言。
masaruさん、〇〇マンションの管理会社からですが、12月分の賃料が入ってないようです。
管理会社が調べたところ、賃借人が亡くなったようです。。。
なんと賃借人死亡。
さらになんとなく感じていましたが、masaru担当の物件でした。。。
会社で保有しているマンションで、賃借人の奥様が住んでおり、毎月賃料収入がありました。
賃借人はご主人で、住んでいるのは奥様のみ。
その物件はオーナーチェンジ物件で購入しており、購入当時内容は聞いていましたが、詳しい理由は聞いていませんでした。
センシティブな事ですし、物件が安かったことと、契約内容は全く問題なかったので大きな心配はしていませんでした。
事務スタッフの話では、電話の主はそのお部屋の賃料の保証と管理をしている会社からで、先月の12月分が振り込まれていなく、賃借人に連絡しても連絡がとれず、仕方なく賃借人の会社に連絡をしたところ、病気で死亡したことがわかったようです。
さて、どうしたものか。
関係人は以下の通り。
賃借人:ご主人
居住者:奥様1人
緊急連絡先:ご主人の叔父
保証会社:あり
まずは状況把握。
保証会社の対応が解らないので早速連絡。
保証会社の対応としては、賃借人死亡の場合は契約が解除になり、滞納している賃料に関しては一定期間保証可能とのこと。
今回は1か月分滞納していたので1か月分は保証してくれるとのことでした。
次に緊急連絡先に連絡。
賃借人の叔父。
『お掛けになった電話は、現在使われておりません』
・・・困った。
通常、契約書記載の関係人の住所や電話番号など変更があれば賃借人は連絡をしなければいけないのですが、長い年月住んでいたり、賃借人がご高齢だと、面倒であったり、忘れてしまうものです。
次に権利関係の整理。
賃借権も相続されるので、ご主人が亡くなったということは賃借権は奥様に相続されます。
さらに子供がいれば子供も相続人になります。
子供がいない場合は親が相続人になり、親がいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。
ただその時は相続人である奥様の情報しかない為、奥様の所へ即訪問。
物件へ訪問
奥様は物件に住んでおり、ご主人が契約者で賃料もご主人が払っており、ご主人の住まいは物件と違う住所。
おそらく熟年離婚1歩手前で状況が変わっていないのかなと推測しながら物件まで到着。
築25年程度のマンション。
比較的駅近くにある小規模なマンションで閑静な住宅街にあります。
その1階部分の角部屋。
賃借人とお会いする機会は少ないうえ、ご主人が亡くなっているので、少し緊張しながら玄関前まで到着。
!!!!!!!!!!!
その異様な玄関にすぐ気づきました。
玄関の隙間にはA4程度に切った段ボールが隙間を埋めるように無数に刺さっており、無数のガムテープをはがした跡。玄関の覗き穴の少し上に段ボールが貼ってあり、下記のように油性ペンで書いてありました。
『御用の方は猫のようにニャーニャーと鳴いて下さい』
ぞわぞわっと鳥肌が立ち、心臓がドクンと高鳴ります。
怖い。。。
なんやこれ。
実はこの物件は退職した営業マンから引き継いだばかりで現地に来たのも初めて。
元担当営業マンからも何も聞いていなかったので心の準備もないまま来てしまいました。
玄関を見て衝撃を受けましたが、居住中の奥様にお話を聞かないことには進展しないので思い切ってベルをならしました。(恥ずかしくてにゃーにゃーとは言えず)
短いベル音がなり、返答待っているとまたしても衝撃が。
お前は誰だっ!!なん用ですかっ!!!
!!!!!!!!!!!!!!!
その発言にも衝撃でしたが一番は声の大きさ。
怒鳴っているのですが、すごい距離が近いんです。
恐らく、玄関の覗き穴を見ながら発したのかと推測。
一応返答があったので良しとして(不在の場合はそれはそれで大変)、そもそも居住者なのか?と疑問を持ちながら、玄関扉越しに自己紹介をしつつ、masaruが来た目的を説明。
おたくが所有者だなんて嘘だね!!俺たちが買ったんだから!俺を騙そうとしてるでしょ!!!
※女性ですが俺と言っています
・・・会話にならない。
どうやら、マンションは売買されて所有者が変わっている事や、賃料をご主人に払ってもらって住んでいることを知らない様子。
ただ玄関越しで話している女性の言い分は一部本当なんです。
謄本という物件の歴史がわかる書類をみると、一番最初に買ったのは現在居住中の奥様のご主人。
つまり賃料を払っていた人。
その後銀行に物件の差し押さえや解除があり、〇〇不動産に所有者が移っています。その〇〇不動産がオーナーチェンジとして売っていた物件を前担当者が買ったようです。
つまり購入当初は現在居住中の奥様のご主人ということは間違っていなくて、その後の権利関係を奥様は理解していない状況でした。
ドア越しに謄本を見ながら説明をしましたが本当に何も知らない様子。
会話が成り立たない居住者と会話
公的書類を見るとこうなっていますし、現にこういった契約をご主人様と交わしていますから。
ドア越しではなんなので、まずはドアを開けていただけませんか。
お前の会社は聞いたことねぇよ!お前あれか、〇〇不動産の人間だろ!この家は住宅ローン組んで俺たちが買ったんだから!
きちんとした会話のキャッチボールができないまま玄関扉越しで1時間ほど大声で話しているといろいろわかってきました。
・この人は間違いなく賃借人の奥様。
・一人暮らしで電話はなし。
・会話にで出ていた『〇〇不動産』は謄本に載っていた前所有者で、何らかのトラブルがあり恨みを持っている。
・『〇〇不動産』はmasaruと同じようにこの物件にきて退去の交渉に来た様子。
・庭で猫に餌付けしている。
・居住者である奥様は所有権を持っていると思っており、賃料を支払っている事を知らない。
・ご主人は家出したっきり戻ってこなくなった
めちゃくちゃヘビーな話を大声で話す奥様は弾丸トーク。
玄関扉越しで会話もかみ合わず、これ以上話しても無駄だと判断し切り上げることに。
ただとてつもない弾丸トークでなかなか話し出せない。
俺はこの家を住宅ローン組んで買って住宅ローンも払ったのに、なぜ賃料を払わなければいけないのか!日本国憲法は俺の事を保護してくれる!○▼※△☆▲※◎★●・・・・・・・・・・
また来ますので!帰ります!
いい加減masaruも付き合えなくなりバッサリ会話を切って退却。
帰る背中に玄関ドア越しに大声でずっと話していました。
さて、本件についてできることはやり切った1日。
次はどうしよう。。。
masaru
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